大場順一 大場順一 3100×700×440 ＊写真をクリックすると大きくなります＊ 中本誠司さんと大場順一の出会いと語録 　仙台にあるデパートを会場にしたグループ展に参加する事になり、作品を搬入用エレ ベーターに載せて、閉めようとした時に、白髪で顔の半分程ヒゲをはやした一見老人 風の人が乗ってきて、「君も〜〜展の搬入か、絵書き何だろう？　筋肉質のいい体し てるな。」これが中本誠司さんとの一番最初の出会いでした。 あれから17年目、2000年の今年、美術家、中本誠司さんは4月３日、脳腫瘍をを患い61歳で亡くなりました 。生前、中本さんは私を美術家としてだけではなく同じ時代に生きている人間として 話したり、行動を共にしてくれました。 　最初の出会いから半年も経たない１９８４年 ２月１４日、雪の降る仙台の広瀬通り、早坂鉄工跡に私のインスタレーションを見に 来てくれた彼は、私の作品を評価してくれて、後片づけまで手伝ってくれ、美術家の 石川舜さんと3人で焼き鳥屋で個展の打ち上げをする事になり、酒を酌み交わして話 してる内に激しい口論になり、中本さんから私は「常識知らずで生意気な奴だ、表に 出ろ。」雪降る路上でのとっくみあいの喧嘩になってしまったのです。それが、彼の 出会い、つき合っていくきっかけでした。中本さんとはその後、2回の2人展を含めて ９回の展覧会を一緒にやることが出来ました。又、１９８８年にはアメリカのニュー ヨークに旅行することも出来ました。私は中本さんとたくさんの話しをしました。 その会話の中から中本語録を作ってみました。 ＊絵描きはは絵を描く事以外の仕事を持つな。アルバイトなどをしていつも自分を自 由にしておかなければならない。 ＊絵描きは家族を捨てる事もある。 ＊１つのテーマの作品を描く時、最低でも１００枚以上作品を作らなければならない。 ＊絵描きはあまり政治的にはならないほうがいい。 ＊自分の目の前の幾ら多くのお金を積まれても絵描き以外の職業はしない。 ＊絵描きは学校の先生には絶体なるな。 ＊絵描きは自分の才能を自分の為だけに使うな。世界の皆んなの為に使え。その才能は神様から与えられたものと思え。 ＊仙台にも多くの絵描きがいる。日本、世界中にはもっと、井の中の蛙にならない様に常に世界を見た仕事をしろ。 　など彼がよく話していた言葉の一部です。これからの内容から中本誠司さんの生きか たや、考え方が少しは垣間見る事が出来るでしょう。 　又、彼は大変な海好きで、泳ぎも得意でした。よく海でキャンプをしながら制作もしていたし、彼にとって砂浜はもう一つのアトリエでした。口癖で「死ぬときはカリブの暖かくて、きれいなうみだな。」と話したりもしていました。 今、中本誠司さんの魂は、カリブ海をスイスイとイルカの泳ぎのように泳いでるのかも知れないと思えてくるのです。 2000年5月　大場順一